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マンション売却の契約不適合責任と売主の注意点

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目次

マンション売却の契約不適合責任について、対象となる欠陥の種類や請求できる権利、売主がトラブルを避けるための実務的な対策をわかりやすく解説します。

1分でわかる!契約不適合責任とトラブル回避のポイント
POINT 1 「隠れた欠陥」だけでなく、契約と違う状態が幅広く対象に

民法改正により、従来の「隠れた瑕疵」に限らず、契約で約束した内容と異なる状態は原則として契約不適合責任の対象になります。設備故障だけでなく、「説明された性能・状態と違う」と買主が判断すれば、修理や代金減額などを求められる可能性があります。

POINT 2 最大の防御策は「正直な告知」と「書面での明文化」

不具合をあいまいにしたまま売るのはトラブルのもとです。気付いている不備や近隣トラブルは、不動産会社を通じて買主に共有し、「物件状況報告書」や「付帯設備表」に具体的に記載しておきましょう。不適合となり得るポイントをあらかじめ合意内容として整理しておくことで、後から「聞いていない」と言われるリスクを大きく減らせます。

POINT 3 特約・インスペクション・瑕疵保険でリスクをコントロール

個人間売買では、契約不適合責任の期間を引き渡しから3〜6ヶ月程度に短縮する特約を設けるケースが多く見られます。あわせて、ホームインスペクション(住宅診断)や既存住宅瑕疵保険を活用すれば、見落としていた不具合への備えになり、売主・買主の双方にとって安心材料となります。

法的リスク対策の次は「売却戦略」の前提チェックを

ここまでの内容を押さえておけば、売却後の大きな法的トラブルはかなり回避しやすくなります。とはいえ、実際の手取り額を左右するのは、契約不適合責任そのものよりも、その前段階の「査定の受け止め方」や「売り出し方」といった売却戦略です。
「査定額が一番高い会社が正解」「まずは高値で出して、反応を見てから下げればいい」といった考え方には、思わぬ落とし穴もあります。

契約不適合責任やリスク対策をしっかり調べている人ほど、価格設定や戦略の前提に見落としが生じがちです。トラブル回避とあわせて、高く・ムダなく売るための「よくある誤解」を一度整理しておきましょう。

マンション売却における契約不適合責任とは?

契約不適合責任の基本的な考え方

契約不適合責任とは、売却したマンションが、売買契約時に約束した品質や性能、種類、数量に適合しない「不適合」があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。これは、引き渡し後に買主がその不適合を発見した場合に適用されます。例えば、契約書では「正常に作動する給湯器」として売却したにもかかわらず、引き渡し後にすぐ壊れてしまった場合などが該当します。

これは、売買取引における公平性の確保を目的としたものであり、売主が「知らなかった」としても、契約で定めた品質を満たさなければ責任を負う可能性がある、という点がポイントです。特にマンションのように高額で複雑な物件では、売主と買主の知識や情報に差が生じやすいため、売主は自身が負う責任の範囲を正確に理解しておくことが重要です .

改正民法での位置づけとマンション売却への影響

契約不適合責任は、2020年4月に施行された改正民法によって導入されました。これは、従来の「瑕疵担保責任」が抱えていた、責任の範囲や買主がとれる手段の不明確さを解消するために整備されたものです。法改正により、売主の責任の所在がより明確になった一方で、買主側が主張できる権利が拡大しました。

マンション売却においては、契約書に具体的な内容を盛り込むことの重要性が増しています。例えば、設備の「どの時点」での不具合までを責任の範囲とするか、責任を負う「期間」をどのくらいに設定するかなど、細かな取り決めが求められるようになりました。これにより、契約時に明確な取り決めを怠ると、売却後に予期せぬトラブルに発展するリスクが高まったと言えます。

旧・瑕疵担保責任との主な違い

契約不適合責任は、従来の瑕疵担保責任とは、次の点で異なります。従来の瑕疵担保責任では、「隠れた瑕疵(欠陥)」にのみ責任を負い、買主が請求できるのは原則として「契約解除」と「損害賠償請求」に限られていました。

しかし、契約不適合責任では、「隠れた」欠陥である必要がなく、契約内容と合致しない全ての不適合が対象となります。そして、買主が主張できる権利として、「追完請求(修理・代替品の請求)」や「代金減額請求」が加わり、買主の権利が大幅に拡大しました。

これは、売主にとっては、責任を果たすための選択肢が増えたと同時に、買主から多様な形で請求を受ける可能性が高まったことを意味します。

マンション売却で問題になりやすい契約不適合の種類

物理的瑕疵:設備故障・構造上の問題

物理的瑕疵とは、建物や設備の物理的な欠陥のことです。マンションの売買で問題になりやすいのは、共用部分ではなく、主に専有部分における給排水管の詰まりや水漏れ、付帯設備の故障です。特に築年数が古いマンションでは、専有部分の配管の経年劣化による水漏れなどが問題になるケースが多く見られます。

また、ごく稀にですが、専有部分の床や壁に構造上の問題(例えば、建築時の施工不良による傾きや振動)が発見された場合も物理的瑕疵に該当します。売主が気づいていなかったとしても、契約時に「通常の性能を有すること」と約束していれば、責任を問われる可能性があります。

心理的瑕疵:事故物件・近隣トラブルなど

心理的瑕疵とは、物件の機能や物理的な欠陥ではないものの、買主が心理的に忌避するであろう事実のことです。具体的には、過去にその部屋で殺人や自殺などの事件・事故があった「事故物件」が典型例です。

マンション売却において他に問題になりやすいのは、近隣トラブルです。隣人との過去の騒音トラブルや異臭問題、特定住民による迷惑行為など、契約前に買主に知らされていなかった事実が引き渡し後に発覚した場合、心理的瑕疵として契約不適合責任を問われる可能性があります。売主が「個人的な感情のもつれ」として軽視していても、買主にとっては生活の質に関わる重大な事実となるため、正確な告知が求められます

法律的瑕疵・環境的瑕疵と重要事項説明との関係

法律的瑕疵とは、建ぺい率や容積率の超過、違法増築など、法律上の制限に適合しない状態を指します。また、環境的瑕疵とは、近隣に嫌悪施設(工場、墓地など)が存在したり、騒音や振動がひどかったりする状態を指します。

これらの瑕疵は、売買契約時に不動産会社が行う「重要事項説明」において、買主へ説明することが義務付けられています。重要事項説明書に記載されていない法律上の問題や、買主が一般的に想定できないほどの深刻な環境問題があった場合、契約内容への不適合として売主の責任が問われることになります。

法律的・環境的瑕疵については売主自身が気づかないことも多いため、不動産会社と綿密に連携し、物件情報を正確に把握することが重要です。

契約不適合責任で買主が行使できる主な権利

追完請求と代金減額請求の内容

契約不適合責任において、買主が最も現実的に行使しやすいのが「追完請求」と「代金減額請求」です。

追完請求とは、売主に対して不適合な部分の修理、または代替物の引き渡しを求める権利です。例えば、給湯器が故障していた場合、買主は売主にその修理費用を請求したり、正常な給湯器への交換を求めたりすることができます。売主は、買主が不相当な負担を課す場合を除き、原則としてこの請求に応じる義務があります。

代金減額請求とは、売主が追完請求に応じない、または応じるのが不可能である場合に、不適合の程度に応じて売買代金の減額を請求する権利です。

買主が売主に「直してください」と催告したにもかかわらず、売主が応じなかった場合などに発生します。この権利は、契約不適合責任で新たに導入されたもので、買主の権利が強化された象徴と言えます。

損害賠償請求と契約解除が認められるケース

契約不適合の程度が深刻な場合、買主は「損害賠償請求」や「契約解除」を行うことができます。

損害賠償請求は、契約不適合によって買主が被った損害を売主に請求する権利です。例えば、水漏れによる家具や内装の損傷、あるいは不適合な状態を解消するためにかかった費用などが含まれます。損害賠償が認められるのは、売主に帰責事由がある場合に限られます

契約解除は、不適合の程度が非常に大きく、契約の目的を達成できないと判断される場合に認められます。例えば、大規模な構造上の欠陥が発覚し、修復が不可能、または極めて困難であるといったケースです。

ただし、不適合が軽微である場合は、契約解除は認められないことが一般的です。契約解除が成立すれば、物件は売主に返還され、売買代金は買主に返金されます。

権利行使できる期間と通知義務の考え方

買主が契約不適合責任を理由に売主に権利行使できる期間は、原則として、買主がその不適合を知ってから1年以内に売主に通知しなければなりません。これを「通知義務」と呼びます。

通知義務は、買主が不適合を発見してから1年以内に売主へ知らせればよく、その通知からさらに数年間、損害賠償などの権利を行使できることになります。これは、従来の瑕疵担保責任よりも買主の権利が強化されている点です。

ただし、個人間の売買契約では、この期間を「引き渡しから3ヶ月間」や「6ヶ月間」など、売主と買主の合意に基づいて短縮する特約を設けることが一般的です。この特約がない場合、法律で定められた通知期間が適用されることになり、売主のリスクが高まります。

売主が契約不適合責任を問われないための実務対策

不備・不具合の洗い出しと事前の情報共有

契約不適合責任を問われないための最も重要な対策は、「不適合を隠さないこと」です。売主は、売却前の段階で、マンションの給湯器、エアコン、水回り、扉のきしみなど、専有部分の不備・不具合を徹底的に洗い出すべきです。

そして、洗い出した情報は、必ず不動産会社を通じて買主に事前に共有します。これにより、「これは契約内容に含まれていない不適合である」という合意を形成し、引き渡し後のトラブルを未然に防ぎます。

例えば、リビングのエアコンの調子が悪いことを知っているなら、「このエアコンは動作保証対象外とする」と明確に契約書に記載することで、後に修理費用を請求されるリスクを回避できます。重要なのは、売主が知っている情報は全てオープンにするという意識です。

物件状況報告書・付帯設備表への具体的な書き方

売買契約時に提出する「物件状況報告書」と「付帯設備表」は、契約不適合責任のリスクを軽減するための重要な書類です。これらの書類には、「建物の状態」「近隣との関係」「設備の有無や動作状況」などを記載しますが、単に「なし」「不明」と記載するだけでは不十分です。

例えば、給湯器の設置年や最近の修理履歴、隣人との騒音について過去に管理会社に相談した履歴など、具体的事実を詳細に記載しましょう。これにより、買主は現状を正確に把握し、記載された情報以外で不適合が発生した場合の責任の所在が明確になります。

ホームインスペクションや瑕疵保険の活用

売主が自身の責任範囲をさらに限定し、買主に安心感を与える方法として、「ホームインスペクション(住宅診断)」と「既存住宅瑕疵保険」の活用が挙げられます。

ホームインスペクションは、専門家が建物の状態を客観的に診断するもので、診断書を契約時に開示すれば、売主が知らなかった「隠れた不適合」に対する責任を軽減できます。また、既存住宅瑕疵保険に加入すれば、引き渡し後に不適合が発覚した場合でも、保険金で修理費用をまかなうことができるため、売主が個人資産から多額の出費をするリスクを防げます。

特に築年数の古いマンションを売却する場合、買主も安心して購入できるため、売却期間の短縮にもつながる可能性があります。

契約不適合責任の期間・範囲を定める特約の考え方

個人間のマンション売買では、契約不適合責任の期間と範囲を定める特約を設けることが一般的であり、これは売主にとって最大の防御策の一つです。

法律で定められた「不適合を知ってから1年以内の通知」という期間を、売買契約書で「引き渡し日から3ヶ月間」などと短縮する特約を設けることが慣例です。また、給湯器やエアコンなど、築年数の経過した設備については「保証対象外とする」といった免責範囲を明確に定める特約も有効。

ただし、売主が知っていた不適合を意図的に買主に伝えなかった場合は、この特約があっても責任を免れることはできません。特約を設定する際は、不動産会社と綿密に相談し、買主の同意を得られるよう、公平性のバランスをとることが重要です。

不動産会社選びで確認したいサポート体制

契約不適合責任のリスクを最小限に抑えるには、不動産会社選びが極めて重要です。

優良な不動産会社は、単に物件を売却するだけでなく、物件状況報告書の作成サポート、告知すべきリスクの洗い出し、買主への事前説明の徹底、そして契約不適合責任に関する特約の設定について、専門的な知識をもって売主をサポートしてくれます。

不動産会社を選ぶ際は、「契約不適合責任に特化した保険や保証制度を扱っているか」「重要事項説明を適切に行い、トラブル防止に努める姿勢があるか」といった点を、積極的に確認しましょう。

マンション売却後のトラブル事例とリスクを抑えるポイント

引き渡し後に発覚した欠陥で揉めやすいケース

マンション売却後に最も揉めやすいのは、「設備が引き渡し直後に故障したケース」です。例えば、引き渡しから1週間後にエアコンが動かなくなった、あるいは浴槽のお湯はり機能が使えなくなった、といった事例が挙げられます。買主からすれば、正常に作動することを前提に購入しているため、当然「契約不適合」を主張します。

また、「近隣トラブルに関する告知不足」も頻発します。売主が「以前、一度だけ騒音で注意された」という軽微な出来事と判断していたことが、買主にとっては深刻な問題となり、心理的瑕疵として契約解除や代金減額を求められるケースもあります。売主の主観的な判断ではなく、客観的な事実を全て開示することが、トラブルを未然に防ぐ唯一の方法です。

売主・買主双方が納得しやすい対応の進め方

万が一、引き渡し後に契約不適合が発覚し、買主から請求があった場合、最も重要なのは迅速かつ誠実な対応です。感情的にならず、まずは不動産会社を介して状況を正確に把握しましょう。

買主の主張が正当である場合は、追完請求)に応じる、または代金減額を行うなど、具体的な解決策を提案します。その際、責任の所在(売主の告知義務違反か、経年劣化によるものかなど)を明確にすることが、後の交渉をスムーズに進める鍵となります。

ホームインスペクションの報告書や、瑕疵保険の存在は、交渉を客観的な事実に基づいて進めるための強力な根拠となります。売主・買主双方にとって納得感のある解決を目指すことが、結果的に時間と費用のロスを最小限に抑える道です。

契約不適合責任に関するよくある質問

個人の売主でも契約不適合責任を免責にできる?

個人間(宅建業者ではない売主と買主)のマンション売買契約において、売主の契約不適合責任を完全に免責とする特約を設けることは、法律上は可能です。しかし、実際には買主の保護やローンの審査の関係で、免責特約が認められることは稀。また、買主にとって不利な条件となるため、購入をためらわれる要因にもなります。

現実的には、前述したように、期間を短縮する特約(例:引き渡しから3ヶ月)や、特定の設備を保証対象外とする特約を設けることで、責任の範囲を限定するのが一般的です。完全に免責にするのではなく、「どこまで責任を負うか」を明確にすることで、売却リスクの軽減と買主への安心感提供の両立を図るべきでしょう。

築古マンションや投資用物件を売るときの注意点

築古マンションを売却する場合、給排水管や設備の経年劣化による不適合リスクが非常に高まります。この場合、ホームインスペクションや瑕疵保険の活用は、リスクヘッジとして非常に有効です。また、特約で「設備は現状有姿(現時点の状態)とし、保証しない」と定めることが買主に受け入れられやすくなります。

投資用物件を売却する場合、買主も専門的な知識を持っていることが多いため、建物の収益性だけでなく、法的な適合性や設備の状態についても厳しくチェックされます。特に賃貸人がいる場合は、賃貸契約に関する不適合責任も生じるため、賃貸人との間のトラブル履歴なども詳細に告知する必要があります。

仲介と買取で契約不適合責任はどう変わる?

マンション売却における仲介(個人が買主)と買取(不動産会社が買主)では、契約不適合責任の取り扱いが大きく異なります

仲介の場合、原則として売主が契約不適合責任を負いますが、特約で期間や範囲を限定できます。一方、買取の場合、買主となる不動産会社はプロの宅建業者であるため、売主の契約不適合責任が完全に免責になるケースがほとんどです。

不動産会社が物件を現状のまま買い取るため、売主は引き渡し後のトラブルを一切気にせずに売却を完了できます。ただし、買取は仲介に比べて売却価格が低くなる傾向にあるため、売主は「価格」と「リスク回避」のどちらを優先するかを検討する必要があります。

まとめ

マンション売却における契約不適合責任は、2020年の民法改正により、その責任範囲がより明確化され、売主にとっては事前の対策が不可欠となりました。責任の対象となるのは、物理的な欠陥から心理的瑕疵まで多岐にわたりますが、最も重要な実務対策は、不具合や不備を隠さず、物件状況報告書や付帯設備表に詳細かつ正直に記載し、買主と情報を共有することです。

ホームインスペクションや瑕疵保険の活用、特約による期間の限定も、トラブルを避け、安心して売却を進めるための賢明な手段と言えるでしょう。これらの知識を活かし、円滑な取引を目指してください。